契約書に穴をあけてしまった!契約は無効になる?
契約書をファイリングしようとして、パンチで穴をあけてしまった。
そのようなとき、「契約書を使えなくしてしまったのではないか」と慌てる方もいるかもしれません。
しかし、契約書の余白に穴をあけただけで、契約が無効になるわけではありません。
多くの契約は、当事者双方の意思が合致することで成立します。法令に特別な定めがある場合を除き、契約の成立に契約書の作成が必要とされているわけではありません。民法第522条
契約書は、当事者が合意した事実や、その内容を証明するための重要な資料です。そのため、穴をあけたこと自体よりも、契約内容を確認できる状態が保たれているかどうかが問題になります。
余白に穴をあけただけなら慌てなくてよい
パンチ穴が契約書の余白部分にあり、記載内容や署名、押印などがすべて残っていれば、通常は契約書を作り直す必要はありません。
ただし、次の部分が欠けたり、読めなくなったりしている場合には注意が必要です。
- 契約条件が記載されている部分
- 当事者の氏名や会社名
- 署名又は記名押印の部分
- 契印や割印
- 収入印紙や消印
- 製本された契約書の綴じ部分
- 契約書と一体になっている別紙や添付資料
これらの部分が損傷すると、後になって契約の成立や内容を証明しにくくなることがあります。
重要な部分に穴をあけてしまった場合は、破損した契約書を捨てずにそのまま保管し、相手方が保管している契約書と内容を照合しましょう。
契約書を捨ててしまった場合
契約書の原本を紛失しても、それだけで契約が無効になるわけではありません。
まずは、社内の保管場所や契約管理台帳、共有サーバー、メール、スキャンデータなどを確認します。契約を担当した部署や退職した担当者から引き継いだ資料、顧問専門家に渡した資料などにコピーが残っている場合もあります。
契約書の本体だけでなく、別紙、仕様書、変更契約書、覚書などが一緒に保管されていないかも確認しましょう。
社内で契約内容を確認できない場合には、相手方が保管している契約書の提供を依頼する方法もあります。ただし、すでに相手方との間で紛争が生じている場合や、契約解除、損害賠償、未払代金などの問題がある場合には、相手方へ連絡する前に弁護士へ相談した方がよいでしょう。
相手方からコピーの提供を受けた場合も、それだけで判断せず、締結時のメール、請求書、納品記録、入金記録などと照らし合わせ、契約書一式がそろっているか確認する必要があります。
契約内容を確認できる資料が残っていない場合には、当事者双方で現在の契約内容を確認し、「契約内容確認書」などを作成する方法も考えられます。
コピーやスキャンがあれば大丈夫か
契約書の原本を紛失しても、コピーやスキャンデータが残っていれば、契約の成立や内容を確認するための資料として使えることがあります。
ただし、コピーやスキャンデータは、原本と比べて、作成経緯や内容が変更されていないことを証明しにくくなる場合があります。コピーやスキャンが残っているからといって、原本を処分してよいわけではありません。
紙で契約書を取り交わした場合は、原本を適切に保管したうえで、紛失や破損に備えてコピーやスキャンデータも残しておくとよいでしょう。
なお、税務上、紙の契約書に代えてスキャンデータだけを保存する場合には、電子帳簿保存法に定められたスキャナ保存の要件を満たす必要があります。
単にPDFにしてパソコンへ保存しただけでは、紙の原本を廃棄できるとは限らないため注意が必要です。国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」
契約書はいつまで保管すればよいか
契約書を保管すべき期間は、契約の種類や事業者の状況によって異なります。
法人が取引に関して作成又は受領した契約書は、税務上、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から、原則として7年間保存する必要があります。
青色申告書を提出した事業年度に欠損金が生じた場合など、一定の場合の保存期間は10年間です。国税庁「帳簿書類等の保存期間」
ただし、税務上の保存期間を過ぎても、すぐに契約書を廃棄できるとは限りません。
契約が続いている場合はもちろん、契約終了後も、代金の支払い、保証、損害賠償、秘密保持などの権利や義務が残ることがあります。また、トラブルが発生している契約書や、許認可などの手続に関係する契約書は、さらに長期間の保管が必要になる場合があります。
契約書を廃棄するときは、締結日や契約終了日だけで判断せず、契約に基づく権利や義務が残っていないかも確認しましょう。
契約書を傷めずに保管する方法
紙の契約書は、穴をあけずに保存できるクリアブックや個別のクリアファイルに入れて保管できます。
契約書を折っただけで効力がなくなるわけではありませんが、長期間保管する書類ですので、水濡れ、日焼け、破損、紛失などを防げる場所に保管しましょう。
契約書の数が増えてきたら、次の情報を一覧にして管理すると探しやすくなります。
- 契約の名称
- 契約相手
- 締結日
- 契約期間
- 自動更新の有無
- 解約通知の期限
- 原本の保管場所
- 保存期限
契約書を保管するだけでなく、必要なときにすぐ取り出せる状態にしておくことも大切です。
電子契約を利用する方法もある
紙の契約書の管理負担を減らす方法として、電子契約サービスを利用する方法があります。
電子契約を利用すれば、契約書の印刷、製本、押印、郵送、ファイリングなどの作業を減らせます。保管中の水濡れや破損、紙の原本を紛失するリスクも抑えられます。
電子署名法では、一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書について、本人の意思に基づいて作成されたものと推定する仕組みが設けられています。デジタル庁「電子署名」
また、印紙税は課税文書を作成した場合に課されるため、電磁的記録として作成された電子契約には、原則として印紙税は課されません。国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
ただし、電子契約を導入した後も、契約データの管理は必要です。
契約を締結する権限を持つ人、アカウントの管理方法、退職者が出た場合の権限変更、データの保存方法などを社内で決めておきましょう。
電子契約によってやり取りした契約データは、電子帳簿保存法に従って電子データのまま保存する必要があります。
紙の契約書を使用する場合も、電子契約を利用する場合も、契約を締結した後の保管方法まで決めておくことが重要です。
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