契約書を作成するとき、
「なぜ2通作るのですか?」
「1通だけではだめなのでしょうか?」
「コピーでも問題ありませんか?」
と質問を受けることがあります。
結論から言えば、契約書は契約当事者それぞれが同じ内容の原本を保管するために、通常は人数分作成します。
これは単なる慣習ではありません。
契約内容の確認を容易にし、改ざんを防ぎ、万が一トラブルになった場合の証拠を確保するためです。
この記事では、契約書を2通作成する理由や、コピーとの違い、電子契約の場合の考え方について解説します。
契約書を2通作る理由
2者間の契約では、通常、契約書を2通作成し、双方が1通ずつ保管します。
この2通はどちらも原本であり、正本・副本という関係ではありません。
契約書は、契約内容を証明するための重要な書類です。
もし一方だけが原本を保管し、もう一方がコピーしか持っていなければ、契約内容を確認したいときや、万が一トラブルになったときに不都合が生じることがあります。
そのため、契約当事者全員が同じ内容の原本を保管する方法が一般的に採られています。
改ざんを防ぐ意味もあります
契約書は、後から一方だけが内容を書き換えられてしまっては意味がありません。
もちろん、紙に書かれた契約書を物理的に書き換えること自体は可能です。
しかし、契約当事者双方が同じ内容の原本を保管していれば、一方だけを書き換えても、もう一方の原本と内容が一致しません。
つまり、双方が原本を保管していること自体が、契約内容の改ざんを防ぐ抑止力になります。
複数ページの契約書では契印を押すことがありますが、これはページの差し替えを防ぐためのものです。
契印と双方による原本保管は、それぞれ異なる角度から契約書の信用性を高めています。
コピーだけ保管する方法はどうでしょうか
印紙税を節約するため、一方だけが原本を保管し、もう一方はコピーを保管する方法が採られることがあります。
コピーが直ちに無効になるわけではありません。
しかし、契約書が本当に必要になるのは、契約が順調に終わったときではありません。
契約内容について争いになったときです。
そのような場面で、自分の手元にあるのがコピーしかないという状況は、あまり望ましいとはいえません。
印紙税の節約というメリットはありますが、私は、特別な事情がない限りは双方が原本を保管することをおすすめしています。
電子契約の場合はどうなる?
電子契約では、紙の契約書を人数分印刷する必要はありません。
契約当事者が同じ電子データを閲覧・保存できるためです。
また、多くの電子契約は印紙税の課税対象にならないため、印紙代を節約できるというメリットもあります。
紙で契約する場合と比べると、保管や検索もしやすく、近年では多くの企業が電子契約を導入しています。
3者間契約なら3通作成します
契約当事者が、
- 甲
- 乙
- 丙
の3者であれば、契約書は通常3通作成します。
4者であれば4通というように、契約当事者全員が原本を保管できるよう、人数分作成するのが一般的です。
よくある質問
契約書は必ず2通作らなければいけませんか?
法律で「必ず2通作成しなければならない」と定められているわけではありません。
しかし、契約当事者双方が原本を保管するため、通常は2通作成します。
原本を紛失したらどうなりますか?
契約書は長期間保管することも多く、契約終了後に必要になることもあります。
紛失すると、契約内容を証明することが難しくなる場合がありますので、大切に保管しましょう。
まとめ
契約書を2通作成するのは、契約当事者双方が同じ内容の原本を保管するためです。
双方が原本を保管することで、
- 契約内容をいつでも確認できる
- 一方だけによる改ざんを防ぐ効果が期待できる
- 万が一トラブルになった場合の証拠を確保しやすくなる
というメリットがあります。
電子契約が普及した現在でも、「契約当事者全員が同じ契約内容を保管する」という考え方は変わりません。
契約書は、契約を結ぶためだけでなく、将来のトラブルを防ぐための大切な証拠です。作成方法や保管方法についても正しく理解しておきましょう。
契約書を初めて作ることになった方へ
契約書は、内容だけでなく、作成部数や署名・押印、製本、保管方法など、実務上知っておきたいルールが数多くあります。
そうした実務のポイントを初心者向けにまとめたのが、『すらすら読めて一生使える 契約書のルールとマナー』です。

契約書を初めて作成する方や、基本から確認したい方はぜひご活用ください。
また、「契約書を作成してほしい」「自社で使っている契約書をチェックしてほしい」という場合は、当事務所のIT契約書作成のミカタまでお気軽にご相談ください。



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