AI導入前に業務フローを書き出すと、何が見えるか|「入れる前に整える」という発想

AIを入れる前に業務フローを整えよう 業務効率化・生成AI

「とりあえずAIを入れてみよう」

そう言って導入したものの、半年経って「壁打ちやメール文の作成以外に、結局あまり使われていない」というケースが本当に多いです。
理由はシンプルで、入れる先の業務が整理されていなかったからです。

私は行政書士として、社内ルールや業務規程の整備をお手伝いする立場で、AI導入後の運用相談を受けることが増えました。
そこで気付くのは、AIを入れる前にやるべきことがある、という当たり前の事実です。

この記事では、AI導入前に整えておくべき業務フローの整理について、実務的な3ステップでまとめます。

AIを入れる前に、入れる先が散らかっていたら効果は出ない

「とりあえずAI入れる」がうまくいかない理由

AIは魔法のツールではなく、入れた先の業務を効率化するための道具です。
業務が整理されていないと、AIに何をやらせていいか分かりません。

「あとはAIが何とかしてくれる」と期待して導入すると、たいてい期待外れに終わります。

業務フローを整えることが先、という発想

AI導入の効果が出る会社には、共通点があります。
それは、AI導入前に業務フローを書き出していることです。

何の業務を、誰が、どの順で、どんな判断で行っているか。
これが見えているからこそ、「ここはAIに任せられる」「ここは人が判断すべき」が区別できます。

AI導入前に整理すべき3ステップ

AI導入前に整理すべき3つのステップ

ステップ1: 現状の業務フローを書き出す

まず、対象にしたい業務を1つ選びます。
そして、その業務が現状どう流れているかを書き出します。

「依頼が来る → 内容を確認 → 必要な情報を集める → 下書きを作る → チェック → 完成」のような流れです。

複雑である必要はありません。
紙とペンで、箇条書きで十分です。

ステップ2: 「人が判断する箇所」と「機械的な作業」を分ける

書き出したフローを見て、各ステップを2つに分類します。

  • 人が判断する箇所:経験・センス・お客様との関係性が必要なところ
  • 機械的な作業:手順が決まっていて、繰り返し作業のところ

たとえば「内容確認」は人の判断、「定型文の下書き作成」は機械的作業、のように分けられます。

日報を書く、SNSを更新する、ブログを更新する、請求書を作るといったものはどの事業者でもつかえる内容です。

ステップ3: AIで置き換える部分を1つだけ選ぶ

機械的な作業の中から、最初に置き換える1つを選びます。

全部一度に置き換えようとすると、社員もついてこられません。
1つに絞って試して、うまくいったら次に進む、というサイクルが現実的です。

つまずきやすい場面

全部一気にAI化しようとして崩壊する

「これも、あれも」と欲張ると、現場が混乱します。
試行錯誤の時間が増えて、結局元のやり方に戻ります。

業務フローが属人化していて書き出せない

「○○さんしか知らない」「○○さんに聞かないと分からない」が多い業務は、書き出すこと自体が困難です。
属人化を解消することと、AI導入は別物として進めたほうが安全です。

AIに渡す情報の機密性を確認していない

業務フローの中で、AIに渡す情報の中身を確認していないケースが多いです。
お客様の個人情報・契約内容・社内の機密情報など、AIに渡してよいかどうかは事前に判断が必要です。

整理段階で押さえておく実務上の論点

個人情報・機密情報をAIに渡す前のチェック

AIサービスによって、入力した情報の扱いは違います。
契約内容・プラン・設定によって、学習に使われるかどうかが変わります。

社員が個別に判断できることではないので、会社として「何を入れてよいか」のルールを決めておく必要があります。

社内ルール・利用範囲の事前整備

AIを入れる前に、利用範囲・禁止事項・責任の所在をルール化しておきます。
後付けでルールを作ると、現場が混乱します。

「AI導入と同時に運用ルールを整える」のが理想です。

仕事で使うAIについての注意点は自著でも紹介しています。

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行政書士に相談するメリット

AI導入そのものは私の専門ではありませんが、周辺の社内整備は行政書士が支援できる領域です。

社内ルール整備の支援

利用規程・個人情報取扱規程・業務マニュアルの整備をお手伝いできます。
AIを入れた後で「ルールがなかった」とならないように、事前に整える支援です。

補助金活用の検討

IT導入補助金など、ツール導入に使える補助金が時期によって用意されています。
要件に合えば、導入費用の負担を軽くできる可能性があります。

執筆時点で利用可能な制度をご案内できます。

よくある質問

Q. どのくらいの規模から取り組むべきですか?

会社の規模に関係なく、業務の中に「繰り返しの定型作業」があれば取り組む価値があります。
私はまず一人から始めていますが、一人の業務でも、効率化にとても役立っています。
最初は1人の業務、1つのプロセスから始めるのがおすすめです。

Q. 業務フロー整理だけで終わってしまわないか心配です

「整理して終わり」を避けるためには、最初から置き換える1つを決めて取り組むことです。
完璧に整理する必要はなく、「ここをAIに任せる」というゴールが決まっていれば、そこに向かって整理できます。

まとめ|整理してから入れるほうが、結局早い

AI導入は、入れる前の業務フロー整理が成果を分けます。
「とりあえず入れる」で時間とお金を使うより、整理してから1つだけ置き換える、を積み重ねるほうが結局早く効果が出ます。

私のように、暇な時間全部をAIに使うのであれば、試行錯誤してもいいと思いますが、それが面倒であれば、最小限に試すことが一番お勧めです。

まずは、書き出してみることをお勧めします。

社内ルールの整備や補助金活用についてご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者

行政書士 坂本倫朗(さかもと・みちろう)

坂本倫朗行政書士事務所 代表。東京都を拠点に、産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可・解体工事業登録・電気工事業者登録・一般貨物自動車運送事業など、各種許認可申請の支援を行っています。

また、補助金・融資支援を軸にした定額制サービス「Legal Base One」を運営し、IT・Web業界の中小企業や個人事業主に対し、契約書作成・利用規約作成・資金繰り改善・補助金支援など、財務と法務の両面から継続サポートを提供しています。

さらに、生成AIの活用支援を行う「生成AIアドバイザー」として、AI導入・プロンプト設計・AI契約条項の作成など、企業のAI活用を法務面からサポートしています。

行政書士登録番号:第17081604号
所属:東京都行政書士会
Webサイト:https://sakamoto316.tokyo/

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