通帳にも登記簿にも載らない「デジタル資産」が、相続でつまずく理由|家族も会社も存在に気づけない財産という盲点

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デジタル資産が相続でつまずく理由|家族も会社も存在に気づけない財産という盲点

「財産といっても、通帳と土地くらいですよ」
そう話す経営者は少なくありません。
ところが最近は、通帳にも登記簿にも載らない財産が増えています。
ネット上のお金やデータ、いわゆるデジタル資産です。
やっかいなのは、家族も会社も、その存在に気づけないことです。
本記事では、デジタル資産が相続・事業承継でなぜつまずくのか、何を整えておけるのかを、行政書士の立場から整理します。
なお、各サービスの扱いや制度は本記事執筆時点のものであり、サービスによって異なります。個別の判断は専門家への確認をおすすめします。

そもそも「デジタル資産」とは何を指すのか

まず、どんなものが当てはまるのかを押さえます。

ネット銀行・ネット証券・暗号資産など見えないお金

通帳のないネット銀行、ネット証券の口座、暗号資産。
紙の記録が残らないため、家族が存在に気づきにくいお金です。

ドメイン・サブスク・クラウド上の事業データ

会社のドメイン、各種サブスク契約、クラウドに置いた事業データ。
事業に直結しているのに、社長個人のアカウントに紐づいていることがあります。

SNS・電子マネー・ポイントなど雑多な権利

SNSアカウント、電子マネー、ポイント。
一つひとつは小さくても、合わせると無視できないことがあります。

なぜ相続・事業承継でつまずくのか

デジタル資産は、見えないがゆえにつまずきます。

そもそも存在を家族が知らない

本人しか知らない口座やアカウントは、本人がいなくなると誰も気づけません。
あることすら分からなければ、引き継ぎようがありません。

IDやパスワードが分からず到達できない

存在は分かっても、IDやパスワードが分からなければ中に入れません。
お金やデータがあるのに、たどり着けないことになります。

事業に使っているデータ・契約が止まる

事業に使っているクラウドや決済が、社長個人の契約だった。
支払いやログインが止まると、事業そのものが滞ります。

経営者の場合に特に厄介になる場面

会社と個人が混ざっていると、影響が事業に及びます。

事業用のクラウド・ドメインが個人アカウントのまま

会社のサイトやデータの土台が、社長個人のアカウント。
本人に何かあると、会社が自社のサイトを触れなくなることがあります。

ネット上の決済・口座が事業資金と混ざっている

事業の入出金が、個人名義のネット口座を通っている。
相続財産との線引きが難しくなり、整理に手間がかかります。

取引先とのやり取りが個人のメール・SNSに残っている

大事なやり取りが、社長個人のメールやSNSの中だけにある。
履歴にたどり着けないと、取引の経緯が分からなくなります。

生前に整えておきたいこと

見えない資産は、見える形にしておくことが第一歩です。

どこに何があるかの一覧をつくる

どんな口座・契約・アカウントがあるか、一覧にしておきます。
中身まで書かなくても、「ある」ことが分かるだけで家族は動けます。

事業用と個人用のアカウントを分ける

会社で使うものと、個人のものを分けておきます。
分かれていれば、承継のときに事業側だけを引き継げます。

引き継ぎ方法と連絡先を書面で残す

いざというとき誰に連絡し、どう引き継ぐか。保管場所や連絡先を書面で残しておきます。
なお、パスワードそのものの控えは漏えいのリスクがあるため、保管の仕方は慎重に決めてください。

相続・事業承継の入口で行政書士が関われる場面

財産の洗い出しと書類づくりの部分で、行政書士が関われます。

財産目録・遺産分割協議書づくりでの洗い出し

何があるかを書き出す財産目録、誰が引き継ぐかを定める遺産分割協議書。
ここでデジタル資産も漏らさず拾う整理をお手伝いできます。
なお、暗号資産の評価や相続税は税理士、相続登記は司法書士の領域です。

事業用資産・アカウントの承継とあわせた整理

事業用のドメインやクラウド、ネット口座を、承継全体の中で整理する。
見落としやすい部分こそ、入口でまとめておく価値があります。

よくある質問

何から手をつければよいですか

まずは、どんなネット口座・契約・アカウントがあるかの一覧づくりからをおすすめします。

パスワードを書き残しても大丈夫ですか

そのまま書き残すのは、漏えいや不正アクセスのリスクがあります。
保管方法を分けるなど慎重に扱ってください。具体的な管理方法は専門家に相談すると安心です。

暗号資産やネット証券は誰に相談すればよいですか

評価や税務は税理士、口座の手続は各事業者の定めによります。
財産の洗い出しや書類の整理は行政書士が関われます。

会社のSNSやドメインはどう引き継ぎますか

サービスごとに死亡時・第三者アクセスの扱いが異なります。
本記事執筆時点でも一律ではないため、契約内容を確認しつつ、承継の段取りを早めに決めておくことです。

まとめ

デジタル資産は、通帳にも登記簿にも載りません。
だからこそ、家族も会社も存在に気づけないまま埋もれます。
まずは「どこに何があるか」を一覧にするところから。
事業用と個人用を分け、引き継ぎ方を書面で残しておく。
財産の洗い出しや、事業用アカウントの承継整理でお困りのことがあれば、一度ご相談ください。

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この記事の執筆者

行政書士 坂本倫朗(さかもと・みちろう)

坂本倫朗行政書士事務所 代表。東京都を拠点に、産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可・解体工事業登録・電気工事業者登録・一般貨物自動車運送事業など、各種許認可申請の支援を行っています。

また、補助金・融資支援を軸にした定額制サービス「Legal Base One」を運営し、IT・Web業界の中小企業や個人事業主に対し、契約書作成・利用規約作成・資金繰り改善・補助金支援など、財務と法務の両面から継続サポートを提供しています。

さらに、生成AIの活用支援を行う「生成AIアドバイザー」として、AI導入・プロンプト設計・AI契約条項の作成など、企業のAI活用を法務面からサポートしています。

行政書士登録番号:第17081604号
所属:東京都行政書士会
Webサイト:https://sakamoto316.tokyo/

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