「うちは一人でやってるんで、許可はいらないですよね」
独立して間もない方から、私はよくこう聞かれます。
ところが、その数か月後に「元請から許可がないと現場に入れないと言われて」と相談が来る。
このパターンを、私は何度も見てきました。
許可がいるのか、いらないのか。
取るとして、いつ取るのか。
一人親方が迷いやすい場面と、判断の軸を整理します。
なお、要件や取扱いは本記事執筆時点のものであり、行政庁や改正によって変わりうる点はご了承ください。
そもそも建設業許可が必要になる線引き
まず、許可がいるかどうかの基本を押さえます。
1件の請負金額で線が引かれる仕組み
建設業許可は、1件あたりの請負金額で線が引かれる仕組みです。
一定の金額を超える工事を請けるには、許可が必要になります。
具体的な金額の基準は、行政庁の案内や本記事執筆時点の制度で確認してください。
軽微な工事の例外と「うちは小さい」の見立て
金額の小さい工事には、許可がなくてもよい範囲があります。
ただし「うちは小さいから大丈夫」と思っていても、一件が大きくなれば線を超えます。
この見立てのズレが、後で問題になりがちです。
法人か個人事業主かで線引きが変わらない論点
「個人事業主だから許可はいらない」と思われがちですが、許可の要否は事業の形だけでは決まりません。
法人でも個人でも、請ける工事の内容によって許可が必要になる場面があります。
ここは誤解されやすいので、注意が要ります。
一人親方で許可の話が持ち上がる典型場面
許可の話は、たいてい外から持ち込まれます。
元請から許可の有無を確認される
「許可番号を教えてください」
取引を始めるときに、元請から確認されることがあります。
ここで初めて、許可の必要性に気づく方が多いものです。
金額の大きい仕事を任せたいと言われる
「次はもっと大きい現場を頼みたい」
ありがたい話ですが、金額が上がれば許可が必要になることがあります。
仕事の幅を広げるタイミングで、許可の話が出てきます。
公共工事・大手元請の取引に入る
公共工事や大手の取引では、許可があることが前提になっている場面があります。
許可がないと、そもそも土俵に乗れないことがあります。
許可を取らないまま続けるとどうなるか
許可が必要な場面で取らずに続けると、いくつかの影響が出ます。
取引先の選別から外れる
許可の有無で取引先を選ぶ会社があります。
許可がないことで、声がかからなくなる場面があります。
請けられる工事の上限が動かない
許可がないままだと、請けられる工事の金額に上限が残ります。
事業を大きくしたくても、その上限が壁になります。
行政指導・営業停止のリスク
許可が必要な工事を許可なく請けると、行政指導などの対象になる場面があります。
「取らないと違法」と一律に言えるものではありませんが、リスクがあることは知っておきたいところです。
一人親方で許可を取るときに引っかかりやすい論点
いざ取ろうとすると、一人親方ならではの引っかかりがあります。
経営業務管理責任者の経歴の証明
経営に関する経験を証明する要件があります。
一人で続けてきた場合、その経歴をどう資料で示すかが課題になりがちです。
専任技術者の要件と兼任の扱い
技術面の要件を満たす人がいるか。
一人親方の場合、自分がその役割を兼ねられるかが論点になります。
常勤性を裏付ける資料の準備
その事業に常勤していることを、資料で示す必要があります。
何をもって常勤を裏付けるか、準備に手間がかかる部分です。
財産的基礎要件の見方
一定の財産的な基礎があるかも見られます。
ここをどう満たし、どう示すかも、事前に確認しておきたい論点です。
判断軸として整理しておきたいこと
取るか取らないかは、今だけでなく先を見て決めたい部分です。
これからの取引先・受注金額の見通し
これから受けたい仕事の金額や、取引先の顔ぶれ。
そこで許可が前提になるなら、早めに動く判断につながります。
法人化・事業拡大の予定との関係
将来、法人化や事業拡大を考えているか。
許可の取得は、その計画とあわせて考えると判断しやすくなります。
なお、法人化そのものの手続きは司法書士の領域になります。
費用と時間のかけどころ
許可の取得には、一定の費用と時間がかかります。
今かけるべきか、もう少し後でよいか。
具体的な期間や費用は一般にケースで異なるため、見通しを立てたうえで判断してください。
行政書士に相談するメリット
許可の取得は、行政書士が関われる中心的な場面です。
要件の事前確認と書類設計
取れるかどうか、何が足りないか。
申請する前に、要件を確認し、書類の組み立てを設計します。
行政庁ごとの取扱い差への対応
許可の取扱いは、行政庁によって細かな差が出ることがあります。
その差を踏まえて、補正や再提出を減らす形に整えます。
取得後の届出・更新の取りこぼし防止
許可は取って終わりではありません。
変更届や更新を取りこぼさない仕組みづくりも、あわせてお手伝いできます。
よくある質問
個人事業主のままでも許可は取れますか
取れる場合があります。
事業の形だけで決まるものではないので、要件を満たしているかを確認することになります。
将来法人化したとき許可はどう引き継ぎますか
引き継ぎには手続きが関わります。
法人化の登記自体は司法書士の領域ですが、許可の側の段取りは行政書士が関われます。
取得までにどれくらいの期間がかかりますか
一般に、準備と審査にそれぞれ時間がかかります。
具体的な期間は行政庁や状況で異なるため、余裕を持って動くことをおすすめします。
元請から社会保険加入を求められたときどう動けばよいですか
加入を求められる場面はあります。
ただし、社会保険の手続きは社労士の領域です。
許可の要否とあわせて、必要な窓口に相談する形になります。
まとめ
一人親方の許可は、「いるかいらないか」だけでなく「いつ取るか」の判断です。
元請からの確認、金額の大きい仕事、公共工事。
こうした場面で、許可の有無が現場を止めることがあります。
迷ったら、これから受けたい仕事を思い浮かべてみてください。
そこで許可が前提になるなら、早めに動く価値があります。
要件の確認や、行政庁ごとの取扱い差への対応でお困りのことがあれば、一度ご相談ください。


