社長が全部抱え込む会社で起こりがちな『突然一気に任せて事故る』を避ける、少しずつ手を放すという入口

社長が全部抱え込む会社で起こりがちな『突然一気に任せて事故る』を避ける、少しずつ手を放すという入口 経営・社長の意思決定
社長が全部抱え込む会社で起こりがちな『突然一気に任せて事故る』を避ける、少しずつ手を放すという入口

「自分がやったほうが早いんですよ」
全部を抱えている社長から、私はよくこの言葉を聞きます。
たしかに、慣れた社長がやれば早い。
ですが、その積み重ねの先に、いま起きていることがあります。

任せようとした瞬間に、現場が止まる。
社長が動かないと、何も進まない。
そして、思い切って任せたら、今度は事故が起きる。
本記事では、一気に任せて事故るのを避け、少しずつ手を放す入口を整理します。

全部抱え込んでいる社長に起きがちな状態

抱え込みが続くと、会社に共通する状態が出てきます。

判断の渋滞が常に起きている

小さな確認まで、社長のところに集まる。
社長が忙しいと、判断待ちの行列ができます。
現場は、社長の手が空くのを待つしかありません。

社員が「待ち」になる

聞かないと動けない状態が続くと、社員は指示を待つようになります。
自分で考える場面が減っていきます。
これは社員の問題というより、任せる仕組みがないだけのことが多いものです。

自分が動けなくなった瞬間に会社が止まる

社長が体調を崩したり、外せない用事が入ったり。
その瞬間に、会社全体が止まってしまう。
抱え込みの一番こわいところです。

「一気に任せて事故る」よくあるパターン

抱え込みに気づいた社長が、急に任せようとして事故るパターンがあります。

マニュアルもなくいきなり任せる

「これ、やっといて」とだけ言って渡す。
やり方が共有されていないので、社員は手探りになります。
出てくるものが、期待とずれます。

基準を伝えずに結果だけ評価する

何を大事にしてほしいかを伝えないまま、出てきた結果だけを見て評価する。
社員は、何が正解か分からないまま動くことになります。

途中で口出しして社員が動けなくなる

任せたはずなのに、途中で気になって口を出す。
すると社員は、また社長の確認を待つようになります。
任せたつもりが、元に戻ってしまいます。

『少しずつ手を放す』ための具体的な単位

手放しは、一気にやるものではありません。
小さな単位に分けると、事故りにくくなります。

判断を任せる前に「手だけ」任せる

いきなり判断まで任せると、ずれたとき大きく外れます。
まずは、判断の要らない「手を動かす作業」から渡す。
ここなら、任せても事故が小さく済みます。

手順がある仕事から先に渡す

やり方が決まっている仕事は、渡しやすいものです。
手順のある仕事から先に渡すと、社員も迷いません。

1日1つだけ「自分がやらない」と決める

全部を一度に手放す必要はありません。
今日はこれ一つ、自分がやらない。
小さく決めるところから始めます。

渡す前に整えておきたいこと

任せる前に、少しだけ整えておくと事故が減ります。

判断の基準を1行で書き残す

「ここを大事にしてほしい」を、一行でいいので書く。
基準があると、社員は迷ったときに立ち返れます。

「これだけは社長に聞いて」の線を決める

全部を任せるのではなく、ここからは聞いてほしい、という線を引く。
その線があると、社員は安心して任された範囲を動けます。

失敗してもいい範囲をあらかじめ設定する

任せれば、最初は失敗もします。
どこまでの失敗なら許容できるか、先に決めておく。
そうすれば、小さな失敗で慌てずに済みます。

手を放したあとに起きがちなこと

手放しのあと、いったん大変に感じる時期があります。
これを知っておくと、戻りたくなる気持ちに耐えられます。

思っていた品質と違うものが出てくる

最初は、自分がやるより品質が落ちて見えます。
これは多くの場合、慣れの問題です。
すぐに元の品質を求めると、任せが続きません。

相談の頻度が一時的に増える

任せ始めは、確認や相談が増えます。
ここで面倒がらずに付き合うと、やがて相談は減っていきます。

「やっぱり自分でやろう」に戻りたくなる

一度はこう思います。
ですが、ここで戻すと、また抱え込みに逆戻りです。
一時的な大変さだと割り切ることが、抜け出す鍵になります。

判断の基準を文書化するという視点

手放しを支えるのは、判断の基準を残すことです。

社内ルール・運用基準が「任せる土台」になる

「どう決めるか」が文書になっていると、社員は自分で動けます。
ルールや運用基準は、任せるための土台です。

行政書士の立場から見える、文書化の入り口

私の仕事は、規程やルールを文書にすることと重なります。
判断の基準を残す作業の、たたき台を整えるお手伝いはできます。
ただ、ここは経営の話が中心なので、行政書士が踏み込めるのは一部です。

よくある質問

何から手放せばよいですか

判断の要らない、手を動かす作業からです。
今日一つ、「これは自分がやらない」と決めるところから始めてください。

社員に任せて品質が下がったらどうしますか

最初は下がって見えるものです。
すぐに取り上げず、許容できる失敗の範囲を決めて付き合ってみてください。

右腕がいない場合はどうすればよいですか

右腕がいなくても、小さな作業の手放しは始められます。
一人に全部を渡すのではなく、作業を少しずつ分けて渡す形です。

どのくらいの期間で軌道に乗りますか

これは会社や仕事によって変わります。
「必ず何か月で」とは言えませんが、相談が減ってきたら軌道に乗りつつあるサインです。

まとめ

全部を抱え込む社長が、一気に任せると事故ります。
判断より先に手を任せ、手順のある仕事から渡し、一日一つ手放す。
小さな単位に分けることが、事故を避ける入口です。

最初は品質も落ちて見え、相談も増えます。
ですが、それは抜け出す途中の景色です。
判断の基準づくりや、社内ルール・規程の文書化でお手伝いできることがあれば、一度ご相談ください。

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この記事の執筆者

行政書士 坂本倫朗(さかもと・みちろう)

坂本倫朗行政書士事務所 代表。東京都を拠点に、産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可・解体工事業登録・電気工事業者登録・一般貨物自動車運送事業など、各種許認可申請の支援を行っています。

また、補助金・融資支援を軸にした定額制サービス「Legal Base One」を運営し、IT・Web業界の中小企業や個人事業主に対し、契約書作成・利用規約作成・資金繰り改善・補助金支援など、財務と法務の両面から継続サポートを提供しています。

さらに、生成AIの活用支援を行う「生成AIアドバイザー」として、AI導入・プロンプト設計・AI契約条項の作成など、企業のAI活用を法務面からサポートしています。

行政書士登録番号:第17081604号
所属:東京都行政書士会
Webサイト:https://sakamoto316.tokyo/

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