「会社は継がせない、でも資産は遺したい」社長がまず整理すること

「会社は継がせない、でも資産は遺したい」社長がまず整理すること 相続・事業承継
「会社は継がせない、でも資産は遺したい」社長がまず整理すること

「会社を誰かに継がせるつもりはない。でも、家族には資産を残してやりたい」

事業承継というと「誰に継がせるか」の話になりがちですが、近年はこう考える経営者も増えています。
後継者がいない、あるいは無理に継がせたくない。それでも、これまで築いた資産は家族に残したい。

これは消極的な選択ではなく、一つの明確な経営判断です。
ただし、会社を畳むことと家族に資産を遺すことは、整理の仕方が違います。
私は行政書士として、廃業や相続の手続きの場面でこうした準備を支援してきました。
この記事では、まず何から整理すればよいのかを、経営者目線でまとめます。

「会社は畳む、でも資産は残したい」という選択

会社を継がせないと決めたなら、ゴールは「事業を続けること」ではなく「きれいに終えて、資産を残すこと」になります。
目指す方向が変われば、準備の中身も変わります。

大事なのは、早めに方針を決めることです。
時間に余裕があるほど、選べる手段は増え、無理のない形で進められます。

まず整理すべきこと

会社の資産と個人の資産を分ける

中小企業では、会社の資産と社長個人の資産が混ざっていることがよくあります。
事業用の不動産が個人名義だったり、個人の資金を会社に入れていたり。
まずは「どこからが会社で、どこからが個人か」を整理することが出発点です。

廃業と相続を切り分けて考える

会社を畳む手続き(廃業・解散)と、個人の資産を家族に残す相続は、別の話です。
この二つを混同すると、どちらも中途半端になりかねません。
「会社をどう終えるか」と「資産をどう残すか」を、分けて考えることが必要です。

個人保証・借入の扱い

社長が会社の借入の保証人になっている場合、その扱いを整理しておく必要があります。
借入や保証は、残したい資産とセットで考えるべき部分です。
プラスの財産だけでなく、こうした負担をどうするかも早めに確認しておきます。

会社を継がせない場合に起きやすい問題

自社株・事業用資産の評価と処分

会社を畳むとき、自社株や事業用資産をどう評価し、どう処分するかが問題になります。
価値の整理がついていないと、廃業の手続きも相続の準備も前に進みにくくなります。

従業員・取引先への影響

会社を終えるなら、従業員や取引先への影響も無視できません。
いつ、どう伝え、どう区切りをつけるか。
こうした段取りも、計画的に進めるほど混乱を抑えられます。

家族に資産を遺すための準備

遺言書で意思を明確にする

誰に何を残すのかを、遺言書という形で明確にしておきます。
意思が文書になっていないと、残された家族が分け方をめぐって迷うことになります。
確実性を求める場合は、一般的には公正証書遺言が選ばれることが多いです。

生前の資産整理・贈与を検討する

生前のうちに資産を整理したり、状況によっては生前贈与を検討することもあります。
ただし、贈与や相続にかかる税金の具体的な扱いは税理士の専門領域です。
税務面は税理士と相談しながら、無理のない範囲で進めるのが現実的です。

行政書士の視点:廃業・相続手続きの実務

行政書士の立場からは、会社の解散・廃業に伴う各種手続きや、遺言書の作成支援ができます。
「会社をどう終えるか」と「資産をどう残すか」を整理し、必要な書類を整えるところをお手伝いします。

なお、登記が必要な場面は司法書士、税務は税理士と、それぞれの専門家と連携して進めます。
誰がどの部分を担うのかを整理しておくと、複数の手続きが重なっても落ち着いて進められます。

専門家に相談するメリット

廃業と相続が同時に絡む準備は、一人で組み立てるのが難しいものです。
何から手をつけ、どの専門家に何を頼むのかが分かりにくくなります。

専門家が入ると、全体の段取りを整理し、順序立てて進められます。
「会社は継がせないが、資産は残す」という選択を、形にするお手伝いができます。

よくある質問(FAQ)

Q. 後継者がいないと、会社の資産は残せませんか?

会社を継がせることと、個人の資産を家族に残すことは別です。
会社を畳んでも、整理の仕方によって家族に資産を残すことは可能です。

Q. 廃業と相続、どちらを先に考えればよいですか?

切り分けて、両方を並行して整理するのが現実的です。
会社をどう終えるかと、資産をどう残すかは、互いに関係しながらも別の準備が必要です。

Q. 税金のことも相談できますか?

相続税や贈与税の具体的な計算や判断は税理士の専門領域です。
行政書士は手続きや書類の整備を担い、税務は税理士と連携して進めます。

まとめ

「会社は継がせない、でも資産は遺したい」は、消極的ではなく明確な経営判断です。
会社と個人の資産を分け、廃業と相続を切り分けて整理することが、第一歩になります。

遺言書で意思を明確にし、必要な手続きを早めに整えれば、家族に資産を残す準備は十分に進められます。
時間に余裕があるほど、選べる手段は広がります。

廃業と相続の整理や、遺言書の作成を考えたい方は、一度ご相談ください。

この記事の執筆者

行政書士 坂本倫朗(さかもと・みちろう)

坂本倫朗行政書士事務所 代表。東京都を拠点に、産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可・解体工事業登録・電気工事業者登録・一般貨物自動車運送事業など、各種許認可申請の支援を行っています。

また、補助金・融資支援を軸にした定額制サービス「Legal Base One」を運営し、IT・Web業界の中小企業や個人事業主に対し、契約書作成・利用規約作成・資金繰り改善・補助金支援など、財務と法務の両面から継続サポートを提供しています。

さらに、生成AIの活用支援を行う「生成AIアドバイザー」として、AI導入・プロンプト設計・AI契約条項の作成など、企業のAI活用を法務面からサポートしています。

行政書士登録番号:第17081604号
所属:東京都行政書士会
Webサイト:https://sakamoto316.tokyo/

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