資金繰りが苦しくなると、社長はすぐ動こうとします。
「とりあえず借りに行く」
「とりあえず固定費を削る」
気持ちは分かります。何かしないと不安だからです。
ですが、数字が見えていない状態での判断は、たいてい逆効果になります。
削らなくていい費用を削り、使い道のはっきりしない借入を増やす。
最初に立つべき場所は、行動ではなく「数字の見える化」です。
本記事では、金融機関に行く前にやることを整理します。
資金繰り悪化の現場で見える共通点
苦しくなっている会社には、共通する状態があります。
通帳の残高で判断している
「通帳がこれくらいあるから、まだ大丈夫」
残高だけを見て判断しているパターンです。
これから出ていくお金が見えていないので、急に足りなくなります。
月次のキャッシュフローを見たことがない
利益は決算で見ても、現金の動きは見ていない。
月ごとに、いくら入って、いくら出るか。
ここを見たことがない、という会社は少なくありません。
売上は伸びているのに、なぜか苦しい
売上は悪くないのに、手元が苦しい。
これは、入金と出金のタイミングがずれているサインのことがあります。
売上が伸びるほど苦しくなる、という場面すらあります。
「見える化」していない状態で起こる判断ミス
数字が見えないまま動くと、判断を誤りやすくなります。
削らなくていい固定費を先に削ってしまう
目についた費用から削ってしまう。
ところが、それが売上を生んでいた費用だった、ということがあります。
見えていないと、削る順番を間違えます。
借入の使い道が曖昧なまま膨らむ
「足りないから借りる」を繰り返すと、何のための借入か分からなくなります。
使い道が曖昧な借入は、後で自分を苦しめます。
節税のつもりが資金を縛ってしまう
税金を抑えるために使ったお金が、戻ってこない。
節税のつもりが、手元の現金を縛ってしまうことがあります。
なお、税務の判断そのものは税理士の領域になります。
最初に見える化したい3つの数字
見える化といっても、難しいことは要りません。
まずは三つの数字から始めます。
入金と出金のタイミング(資金繰り表)
いつ、いくら入って、いつ、いくら出るか。
これを並べたものが資金繰り表です。
残高ではなく、流れを見るための表です。
固定費の費目別の推移
何に、毎月いくらかかっているか。
費目ごとに並べると、削る順番を考える材料になります。
在庫・売掛金が現金化するまでの期間
売上が立ってから、現金になるまでの時間。
ここが長いと、利益が出ていても手元が苦しくなります。
見える化を進める実務的な順序
順を追って進めると、無理なく形になります。
直近3か月の資金繰り表をまず作る
まずは過去を振り返ります。
直近3か月の入出金を並べるだけで、流れの癖が見えてきます。
今後3か月の入出金の見立てを置く
次に、これから3か月の見立てを置きます。
いつ足りなくなりそうかが、先に見えるようになります。
差額を埋める手段を選択肢として並べる
足りないと分かったら、埋める手段を並べます。
削る、回収を早める、借りる。
選択肢を並べてから選ぶと、判断がぶれません。
見える化の後で取れる選択肢
数字が見えてから、初めて選択肢が選べます。
金融機関と話す前に整える資料
資金繰り表があると、金融機関との話が具体的になります。
何にいくら必要かを、数字で示せるからです。
固定費の削減順序の組み立て
費目別の推移があれば、どこから削るかを順番で考えられます。
やみくもに削らずに済みます。
補助金・公的融資の検討
状況によっては、補助金や公的な融資も選択肢になります。
ただし、制度の要件は本記事執筆時点のものであり、変わりうる点はご了承ください。
専門家との役割分担
資金繰りの改善は、専門家の力を借りる場面があります。
税理士・公認会計士に頼める範囲
数字の作成や、税務の判断は税理士の領域です。
日頃の関与があれば、まずそこに相談するのが近道です。
金融機関との交渉で必要な準備
金融機関と話すには、資料の準備が要ります。
何を持っていくかを整えておくと、話がスムーズになります。
行政書士が支援できる場面(補助金・融資書類)
行政書士が関われるのは、補助金や融資に関する書類の整備です。
事業計画の組み立てを、書類の面から支えることができます。
行政書士に相談するメリット
ここでの行政書士の役割は、書類の整備です。
補助金活用の検討と申請書類の整備
使える補助金がないかを検討し、申請書類を整えます。
資金繰りを補う一つの選択肢として組み合わせます。
金融機関に出す事業計画の組み立て補助
金融機関に示す事業計画を、書類として組み立てるお手伝いをします。
数字を、伝わる形にしていきます。
よくある質問
資金繰り表は何か月先まで作るべきですか
まずは直近3か月の振り返りと、今後3か月の見立てから始めれば十分です。
慣れてきたら、先を伸ばしていけば構いません。
見える化だけで資金繰りは改善するのですか
見える化そのものはお金を生みません。
ですが、見えることで判断を誤らなくなります。
改善の入り口として、外せない工程です。
税理士と行政書士はどう使い分けますか
数字の作成や税務は税理士、補助金や融資の書類は行政書士、と考えてください。
役割を分けて、必要なところで使い分けます。
補助金は資金繰り対策に使えますか
使える場面はあります。
ただし、先に支払い後から受け取る形が多いため、立て替えの資金繰りもあわせて見ておく必要があります。
まとめ
資金繰りが苦しいとき、最初に立つ場所は行動ではなく数字の見える化です。
入金と出金の流れ、固定費の推移、現金化までの期間。
ここが見えてから、削る・回収する・借りるを選びます。
まずは直近3か月の資金繰り表を作るところからで十分です。
そこから、今後の見立てを置いていけば、慌てずに動けます。
補助金の検討や、金融機関に出す事業計画の組み立てでお困りのことがあれば、一度ご相談ください。


