行政書士が解説|産業廃棄物収集運搬業の許可申請で必要な準備とは

産業廃棄物収集運搬業を始めたいと考えている方から、日々多くのご相談をいただきます。

「許可申請って何から始めればいいんですか?」
「とりあえず申請書を作ればいいんですよね?」

しかし実際には、申請書を書く以前の“準備段階”で止まってしまうケースが非常に多いのが現実です。

産業廃棄物収集運搬業の許可制度は、都道府県ごとに運用や提出書類の細かなルールが異なります。本記事は、主に関東圏および甲信越地方の実務運用を前提に解説しています。

本記事では、「どうやって許可を取るか」ではなく、まず“スタートラインに立てる状態を整える”という視点で解説します。

結論から言えば、最低限確認すべきポイントは次の3つです。

・講習会を受講しているか
・車両と駐車場を確保しているか
・税金をきちんと納めているか

この3つが整っていなければ、申請以前の問題になります。

① 講習会を受講しているか(地域によって扱いが違う)

まず最初に確認すべきは講習会です。

法人であれば役員のうち1名以上、個人事業であれば事業主本人が、産業廃棄物収集運搬業の講習会を受講し、修了している必要があります。

ここで注意すべきなのは、都道府県によって運用が異なる点です。

たとえば東京や埼玉では、新規申請の場合、講習会が「修了済み」でなければ申請そのものを受け付けてもらえません。講習会を申し込んでいるだけでは足りず、修了証が手元にある状態でなければスタートラインに立てないのです。

一方で、他県では「講習会の予約が入っていれば申請可能」としているところもあります。ただし、こうした運用は今後徐々に厳格化されていく可能性があると考えられます。実務の感覚としては、“講習修了済み”の状態を作ってから申請準備に入るのが安全です。

まずは講習会。ここを軽く考えないことが重要です。

② 車両と駐車場を確保しているか

次に確認すべきなのが、実際に使用する車両とその保管場所です。

「とりあえず許可を取ってから車を買おう」と考える方もいらっしゃいますが、それでは申請できません。

申請時には、

・車検証
・車両の写真
・所有または使用の根拠資料

などの提出が求められます。つまり、車両が確定していることが前提になります。

さらに見落とされがちなのが駐車場です。

・継続的に使用できること
・賃貸の場合は契約書があること
・使用権限が明確であること

などが確認されます。

「友人に無料で置かせてもらっている」といった状況であっても書面の作成が必要になります。当方でも書面作成については協力できますが、車両よりも駐車場で止まるケースも少なくありません。

車両と駐車場は「実態があるか」が見られます。書類だけ整えても、実態が伴っていなければ意味がありません。

③ 税金をきちんと納めているか

3つ目が納税状況です。

法人であれば法人税、個人事業であれば所得税の納税状況が確認されます。加えて、地方税も対象になります。

ここでよくある誤解が、「3年分ないと申請できないのでは?」というものです。

確かに、納税証明書は直近3年分を求められるケースが一般的です。しかし、これは“必ず3年間事業を継続していなければならない”という意味ではありません。

たとえば個人事業で開業間もない場合、3年分の納税実績がないことは当然です。その場合には、前職の源泉徴収票などを求められるケースがあります。つまり、「3年経たないと申請できない」ということではなく、「その方の状況に応じた資料で信用性を確認する」という考え方です。

重要なのは、税金の滞納がないことです。

滞納がある場合、許可審査上マイナス評価になります。分納中の場合の扱いなども含め、事前整理が不可欠です。

都道府県への申請手数料が必要

上記の①~③が用意出来るのであれば、あとは費用面です。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、都道府県ごとに申請手数料が必要です。

新規申請の場合、多くの都道府県で81,000円となっています(※都道府県ごとに定められています)。

この費用は「許可が下りたら払う」のではなく、申請時に必要となる手数料です。仮に不許可となった場合でも、原則として返金はされません。

また、複数の都道府県で営業する場合は、それぞれの都道府県ごとに申請と手数料が必要になります。

例えば、
・東京都と埼玉県で営業する
・神奈川県と山梨県で営業する

といった場合は、2か所分の申請費用が必要になります。

つまり、「どのエリアで営業するのか」を最初に整理することが重要です。

行政書士に依頼する場合の報酬について

ご自身で申請することも可能ですが、
行政書士に依頼する場合は、当然ながら報酬が発生します。

報酬額は事務所ごとに異なりますが、一般的な傾向としては、

・紹介経由の場合は比較的高くなる傾向
・インターネット経由の場合は価格競争があるため安くなる傾向

があります。

ただし、単純に「安い=良い」「高い=悪い」というわけではありません。

・どこまでサポートしてくれるのか
・事前チェックをどこまで丁寧に行うか
・不備対応や行政とのやり取りを含むか

といった業務範囲によっても報酬は変わります。

■ 費用は「トータル」で考える

産業廃棄物収集運搬業の新規許可では、

・都道府県への申請手数料(おおむね81,000円)
・必要書類の取得費用
・車両準備費用
・場合によっては行政書士報酬
・役場の書類(納税証明書、履歴事項証明書、住民票、登記されていないことの証明書等)

といった費用がかかります。

「申請はいくらですか?」というご質問をよくいただきますが、

まずは、

・どの都道府県で申請するのか
・自分で進めるのか、専門家に依頼するのか

この2点を整理することで、必要な費用の全体像が見えてきます。

許可取得はスタートラインです。費用面も含め、無理のない計画を立てることが大切です。

書類の量よりも大切なのは“事前整理”

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、提出書類が多いことで知られています。しかし、実務上もっとも大切なのは、書類の枚数ではありません。

・講習は終わっているか
・車両と駐車場は確定しているか
・納税状況に問題はないか

この3点を事前に整理できていれば、申請はスムーズに進みます。

逆に、この準備が整わないまま申請に進もうとすると、補正や差し戻しになり、結果として時間も労力も余計にかかります。

まとめ|まずはスタートラインに立てるかを確認する

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、決して特別な人だけができるものではありません。しかし、準備不足のまま進めると確実に止まります。

まず確認すべきは、

・講習会を修了しているか
・車両と駐車場が確保されているか
・税金をきちんと納めているか

この3つです。

ここが整っていれば、申請のスタートラインには立てます。

もし「自分の状況で大丈夫だろうか」と不安がある場合は、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。事前整理をするだけでも、その後の許可取得までの流れは大きく変わります。

産業廃棄物収集運搬業をこれから始めたい方は、まずはスタートラインに立てる状態かどうかを確認するところから始めてみてください。

【当事務所のサポート内容】

産業廃棄物収集運搬業の許可申請|更新まで見据えた産廃許可
産業廃棄物収集運搬業の許可申請に特化。特別管理・積替え保管にも対応し、全国からの相談実績あり。取得後の運用準備や変更届対応まで見据えた産廃許可サポート。

当事務所では単なる許可申請サポートだけでなく、許可取得後の業務に役立つよう、以下のサポートを行います。

・実務に使える運用マニュアルの提供
・各種変更届への迅速な対応
・日々の運用に関する継続的なご相談対応

許可を「形だけ」にせず、事業の土台として機能させる。
それが当事務所の方針です。

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この記事の執筆者

行政書士 坂本倫朗(さかもと・みちろう)

坂本倫朗行政書士事務所 代表。東京都を拠点に、産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可・解体工事業登録・電気工事業者登録・一般貨物自動車運送事業など、各種許認可申請の支援を行っています。

また、補助金・融資支援を軸にした定額制サービス「Legal Base One」を運営し、IT・Web業界の中小企業や個人事業主に対し、契約書作成・利用規約作成・資金繰り改善・補助金支援など、財務と法務の両面から継続サポートを提供しています。

さらに、生成AIの活用支援を行う「生成AIアドバイザー」として、AI導入・プロンプト設計・AI契約条項の作成など、企業のAI活用を法務面からサポートしています。

行政書士登録番号:第17081604号
所属:東京都行政書士会
Webサイト:https://sakamoto316.tokyo/

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