LED交換の下請で外した蛍光灯を運ぶなら、産廃許可に「水銀」の記載が要る

事務所や店舗、公共施設の照明をLEDに替える工事が増えています。一般照明用の蛍光灯は、水銀に関する水俣条約に基づき、2027年末までに製造・輸出入が禁止されることが決まっているためです。

LED交換の現場では、新しい器具を付けるのと同時に、古い蛍光灯や器具を外します。この外した蛍光灯は、水銀を含む産業廃棄物です。「水銀を運ぶのはうちはやらない。必要なときは処理業者に頼む」という電気工事会社も多いと思います。

しかし、元請や施主にとって手間が少ないのは、「交換も、外した蛍光灯の運搬も、まとめて任せられる業者」です。この記事では、LED交換工事をする電気工事会社の方に向けて、外した蛍光灯を運ぶのに許可が要る場面と、まとめて請けられる業者になるための準備を整理します。

1. 先に結論:許可が要るのは「他社の現場の蛍光灯」を運ぶときです

廃棄物処理法では、自分のゴミを自分で運ぶなら許可は不要で、他人のゴミを運ぶなら許可が必要です。外した蛍光灯が誰のゴミになるかは、工事をどの立場で請けたかで決まります。

施主から直接、器具ごとの交換工事を請けた場合(元請)
照明器具の交換は電気工事、つまり建設工事です。建設工事で出たゴミは元請のゴミなので、元請の電気工事会社が自分で運ぶなら、産業廃棄物収集運搬業の許可は要りません。

LED販売会社、ビル管理会社、ゼネコンなどから請けた場合(下請)
外した蛍光灯は元請のゴミです。下請が運ぶと、他人のゴミの運搬になります。許可と、元請との直接の委託契約が必要です。

器具はそのままで、ランプだけを交換した場合
ランプの交換だけなら、建設工事ではなく設備のメンテナンスにあたると考えられます。東京都は、グリストラップ清掃で出る汚泥について、清掃業者やメンテナンス業者は排出事業者になれないと回答しています。この考え方を当てはめると、外した蛍光管は建物側のゴミとなり、持ち帰るには許可が必要になる可能性があります(当事務所の解釈です。個別の判断は所管の自治体へ確認が必要です)。

※排出事業者=そのゴミを出した者として、最後まで適正に処理する責任を負う事業者。

つまり、元請として請ける自社の工事だけなら、許可がなくても困りません。許可が必要になるのは、下請の仕事や、ランプ交換の仕事で蛍光灯を持ち帰るときです。

2. 運ぶなら、許可証に「水銀」の記載が必要です

事業所から出る蛍光管は、産業廃棄物の品目でいうと「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」と「金属くず」の混合物です。そのうえで、水銀を使った製品が廃棄物になった「水銀使用製品産業廃棄物」にも当たります。

この区分は平成29年(2017年)10月1日施行の法令改正で設けられ、扱う収集運搬業者は許可証にその旨を明記することになりました。表記は、たとえば次のようになります。

  • 「ガラスくず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」
  • 「金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」

産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていても、この記載がなければ、他社の現場の蛍光管は運べません。手元の許可証を一度確認してみてください。

なお、水銀の記載が必要なのは、外す側の蛍光管です。LED照明は原材料に水銀を使っていないため、新しく付けるLEDや、将来LEDを処分するときは、この記載の対象ではありません。水銀の記載が必要になる仕事は、蛍光灯からLEDへの切り替えが続く間に集中します。

3. 撤去品の運搬まで請けられれば、元請は運搬業者を別に手配せずに済みます

LED化の発注では、新しい器具の設置だけでなく、古い器具の撤去や処分まで業務の範囲に含める例が多く見られます。

  • 世田谷区は、区の公共建築物168棟の照明器具をLED器具に交換する業務を、複数年度にわたって発注しています
  • 館山公共職業安定所の照明器具更新工事では、工事で出た廃棄物の処分まで工事の範囲に含めています
  • 登米市の道路照明灯のLED化事業では、既設の照明灯の更新とリサイクル廃棄処分まで事業者の業務としています

こうした案件を請けた元請は、現場の施工を地域の電気工事会社に任せることがあります。そのとき、外した蛍光灯の運搬まで任せられる下請であれば、元請は別に運搬業者を手配する必要がありません。

協力業者を探すマッチングサイトでも、建設業許可と並んで、産業廃棄物処理業の許可を確認済みの項目として表示している例があります。下請の電気工事会社にとって、水銀の記載がある許可は、元請に「まとめて任せられる業者」と判断してもらうための材料になります。

4. 施主に補助金の確認を勧められます

LED交換の費用には、国や都道府県、区市町村の補助制度が設けられています。たとえば東京都では、次のような制度があります。

  • 東京都中小企業振興公社の「LED照明等節電促進助成金」:都内で製造業を営む中小企業が、既存の照明器具をLED器具に交換する費用などを助成
  • クール・ネット東京の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」
  • 区市町村の助成:たとえば西東京市は、市内の事業所の蛍光灯器具をLED器具に買い換えた場合の助成を行っています

ただし、補助制度は年度ごとに内容や受付期間が変わり、受付前の着手が対象外になるものもあります。施主が使える制度があるかどうかは、工事の前に最新の情報を確認する必要があります。

見積もりの段階で、「補助金が使えるか確認してみましょう」と施主に声をかけることもできます。

5. 古い器具のPCB入り安定器は、扱いが別になります

昭和52年(1977年)3月以前に建てられた建物では、照明器具の安定器にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が使われている可能性があります。すでにLEDランプに替えてある器具でも、中にPCB入りの安定器が残っている場合があります。

※安定器=蛍光灯の点灯を安定させるため、照明器具の内部に付いている部品。

PCB廃棄物は、法律で譲り渡し・譲り受けが原則禁止されています。電気設備の工事で出たPCB廃棄物は電気設備の所有者のものであり、工事を請け負った業者が自社で保管することはできません。

一方、PCB廃棄物を扱える特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を持ち、所有者から委託を受けた業者であれば、処理施設まで運ぶことはできます。この許可がない場合は、外した安定器を持ち帰らず、所有者に引き渡します。

PCB廃棄物の処理には、中小企業者や個人を対象に、処分費用や運搬費用を軽減する制度が設けられてきました。制度の内容や受付期間は時期によって変わるため、最新の状況は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)や各自治体の窓口で確認が必要です。PCB入りの安定器が見つかったときは、所有者にこの制度があることを案内することもできます。

6. 許可が「いる」「いらない」早見表

ケース収集運搬業の許可
施主から直接請けた器具交換工事で、外した蛍光灯を自社で運ぶいらない(元請が自分のゴミを運ぶ扱い)
下請として請けた器具交換工事で、外した蛍光灯を運ぶいる(水銀の記載が必要。元請と直接の委託契約も必要)
ランプだけ交換し、外した蛍光管を持ち帰るいる可能性がある(建物側のゴミと考えられるため)
「ガラスくず」「金属くず」の許可はあるが、水銀の記載がない他社の現場の蛍光管は運べない
外した器具にPCB入りの安定器が含まれるPCBを扱える特別管理の許可と所有者からの委託がなければ運べない
新しく付けたLEDを将来処分する水銀の記載は不要(通常の産業廃棄物として扱う)

7. 許可の取得も、施主の補助金も、まとめてご相談ください

坂本倫朗行政書士事務所は、東京都板橋区の事務所ですが、産業廃棄物収集運搬業許可の申請先は全国です。これまでに23都道府県で申請してきました。また、認定経営革新等支援機関として、補助金の申請サポートも行っています。

こんな電気工事会社の方に

  • LED交換を下請で請けることが多く、外した蛍光灯の運搬まで任せてもらいたい
  • すでに産廃の許可を持っているが、水銀の記載がない(扱える範囲を広げる手続きをご案内します)
  • 現場が東京・埼玉・千葉・神奈川などにまたがる(必要な県を同時に申請します)
  • 施主から「LED交換に使える補助金はないか」と聞かれる

報酬はこちらのページでご案内しています。補助金のご相談は補助金申請サポートをご覧ください。

「今の許可証で蛍光灯を運べるのか」から、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

※本記事の内容は、執筆時点(2026年10月)の情報に基づいています。本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。廃棄物処理法の運用は自治体ごとに異なる場合があり、個別の判断は所管の自治体への確認が必要です。補助制度やPCB廃棄物の費用軽減制度の内容・受付期間は時期により変わるため、各実施機関にご確認ください。許可の取得や取得時期、補助金の採択を保証するものではありません。

出典

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この記事の執筆者

行政書士 坂本倫朗(さかもと・みちろう)

坂本倫朗行政書士事務所代表。産業廃棄物収集運搬業許可をはじめとする許認可申請、IT・Web事業者向けの契約書・利用規約の作成、補助金・融資支援を行っています。
また、経営者とそのご家族を中心とした相続手続・生前対策に対応しています。
IT分野での実務経験を生かし、生成AIを業務で活用するための仕組みづくりや、契約・責任・業務ルールの整備にも取り組んでいます。

行政書士登録番号:第17081604号
所属:東京都行政書士会
認定経営革新等支援機関(109813007514)
Webサイト:https://sakamoto316.tokyo/

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