会社経営者の父が亡くなったら最初に確認すること|会社と個人の相続を分けて整理

会社経営者の父が亡くなったら最初に確認すること|会社と個人の相続を分けて整理 相続・事業承継
会社経営者の父が亡くなったら最初に確認すること|会社と個人の相続を分けて整理

会社を経営していた父が亡くなったときは、ご家族が進める相続手続と、会社の役員が進める手続を分けます。

ご家族が最初に確認するのは、遺言書、父名義の財産、借入金や保証です。会社では、後任の代表者、給与や取引先への支払い、法人口座、許認可などを確認します。

その間にあるのが、自社株、会社への貸付金、父名義の事業用不動産、個人保証などです。この三つを分けるだけでも、誰が何を確認すべきか見えやすくなります。

なお、この記事では、父親が会社経営者だったケースを例に説明します。母親など、ほかのご家族が経営者だった場合も、対象となる方に読み替えてご覧ください。

会社の通帳や印鑑を家族だけで動かさない

父が会社の通帳、実印、銀行印、キャッシュカードを自宅で保管していたとしても、それだけでご家族が会社のお金を動かせるわけではありません。

会社名義の預貯金や設備は会社の財産です。父個人の相続財産ではありません。父が唯一の代表取締役だった場合は、定款や登記事項証明書を確認し、会社法上の手続に従って後任を選びます。役員変更登記は司法書士へ、当面の支払いと法人口座の扱いは金融機関へ確認してください。

会社に他の取締役や経理担当者がいるなら、早い段階で連絡を取ります。ご家族は、会社の通帳や印鑑がどこにあるかを伝え、会社側で必要な手続を進めてもらいます。

ご家族は父個人の遺言書、財産、債務を確認する

会社の対応と並行して、ご家族は次の資料を探します。

  • 自宅や貸金庫に保管された遺言書
  • 父名義の通帳、証券、保険、不動産の資料
  • 借入契約書、返済予定表、督促状
  • 会社借入れに付けた個人保証や担保の資料
  • 確定申告書、固定資産税の通知書、金融機関からの郵便物

借金や保証があるか分からないときは、財産だけを先に分けないでください。相続放棄や限定承認を検討する期間は、原則として相続の開始を知った時から3か月です。政府広報オンラインの相続案内でも、プラスの財産とマイナスの財産を併せて確認するよう案内されています。

会社と父個人の間にあるものを別に書き出す

経営者の相続で見落としやすいのは、会社と父個人の双方に関係する財産や契約です。

たとえば、会社の決算書に「役員借入金」があれば、父が会社へお金を貸していた可能性があります。父名義の建物を会社が事務所として使っていれば、相続後の所有者と会社との使用関係を決めなければなりません。会社の借入金を父が個人保証していた場合は、会社の返済状況と保証契約を確認します。

次のように、一項目ずつ「名義」と「会社での使われ方」を書くと確認しやすくなります。

  • 自社株:父が何株持っていたか
  • 会社への貸付金:決算書の残高と実際の入出金が一致するか
  • 土地・建物:父名義か会社名義か、賃貸借契約があるか
  • 車両・設備:所有者と使用者は誰か
  • ドメインやサーバー:契約名義と管理者は誰か
  • 借入れ:債務者は会社か父個人か、父の保証が付いているか

今すぐの対応と、会社の将来を分けて考える

亡くなった直後に、会社を継ぐか、売るか、廃業するかまで決める必要はありません。

まずは、後任代表者、給与、借入返済、主要取引先、許認可、業務用メールなど、止められないものに対応します。その後、自社株、会社の財務状況、後継者候補を確認してから、会社の将来を話し合います。

父が会社経営者だった場合は、ご家族だけで相続手続を進めず、会社役員と役割を分けてください。会社側の対応、父個人の相続、会社と父との貸し借りを三つに分けることが最初の作業です。

相続人や財産の確認から、会社・事業、デジタル資産、許認可まで、当事務所が対応する範囲は相続サービスのページにまとめています。