東京都板橋区の行政書士、坂本倫朗です。
漫画家やイラストレーター、ライター、YouTuber、配信者など、ペンネームや活動名で仕事をしている方は少なくありません。
そのため、
「ペンネームで契約書を作っても大丈夫ですか。」
というご相談をいただくことがあります。
結論から言えば、ペンネームが記載されているという理由だけで、その契約が直ちに無効になるわけではありません。
しかし、それだけで安心してよいわけでもありません。
契約書は、トラブルになったときに初めて重要な役割を果たします。ペンネームだけで契約書を作成すると、後から思わぬ問題につながることもあります。
この記事では、ペンネームで契約するときに知っておきたい考え方と、実務上の注意点を解説します。
ペンネームだから契約が無効になるわけではありません
民法では、契約は当事者の合意によって成立するのが原則です。
そのため、契約書にペンネームや活動名が記載されているという理由だけで、契約が当然に無効になるわけではありません。
実際に、クリエイターや配信者など、活動名で仕事をしている方も多く、取引の場面で活動名が使われることは珍しくありません。
問題になるのは、契約が順調に終わらなかった場合です
契約どおり仕事が終わり、報酬も支払われれば、ペンネームが問題になる場面は多くありません。
しかし、
- 報酬が支払われない
- 著作権で争いになった
- 契約違反を主張したい
- 損害賠償を請求したい
このような紛争になると、契約書が重要な証拠になります。
その際には、
「誰が契約当事者なのか」
という点が問題になることがあります。
もちろん、契約書だけで判断されるわけではありません。
メールのやり取りや請求書、振込先、取引の経緯など、様々な事情を踏まえて判断されます。
しかし、契約書に本名など契約当事者を特定できる情報があれば、後日の説明や立証がしやすくなることはいうまでもありません。
私は本名と活動名を併記することをおすすめしています
行政書士として契約書を作成する場合、私は本名と活動名を併記することをおすすめしています。
例えば、
山田 沼太郎(活動名:まぬっくん)
あるいは、
活動名:まぬっくん
本名:山田 沼太郎
というような記載です。
※本記事に登場する「まぬっくん」は説明のために用いた架空の名称です。実在する人物、団体、活動名等とは一切関係ありません。
活動名を仕事で使用しながら、契約当事者も明確になります。
契約書は「今」ではなく、「万一」のために作るものです。
その意味でも、後日のトラブルを防ぐ書き方を選ぶことをおすすめします。
本名を契約書に書きたくないという相談もあります
「活動名だけで仕事をしているので、本名を契約書にも書きたくありません。」
という相談を受けることもあります。
もちろん、プライバシーへの配慮が必要な事情もあるでしょう。
しかし、契約書は契約相手との信頼関係を築くための書類でもあります。
契約相手から見れば、
「誰と契約しているのか。」
という点は重要な関心事です。
また、将来トラブルになった場合にも、契約当事者を明確にしておくことは双方にとってメリットがあります。
そのため、事情に応じて契約方法や本人確認の方法を検討することはあっても、本名を一切記載しない契約書は慎重に考えた方がよいと私は考えています。
「契約できる」と「おすすめできる」は別の話です
インターネットでは、
「ペンネームでも契約できます。」
という説明を見かけます。
これは間違いとは言えません。
しかし、
「契約できること」と「トラブルになりにくい契約書であること」は別の問題です。
行政書士の立場から重要なのは、契約が円滑に進み、万一トラブルになった場合にも、余計な争点を増やさない契約書を作成することです。
そのため、ペンネームを使用する場合でも、契約当事者を明確にできる契約書を作成することをおすすめします。
契約書のレビュー・作成をご希望の方へ
IT・Web業界やクリエイターの契約では、
- 契約当事者の表示方法
- 著作権の帰属
- 修正対応の範囲
- 成果物の利用条件
- 報酬やキャンセル時の取扱い
など、トラブルになりやすいポイントが数多くあります。
ひな形をそのまま使うだけでは、ご自身の仕事に合わない契約書になってしまうことも少なくありません。
当事務所では、「IT契約書作成のミカタ」として、IT・Web・クリエイティブ業界の契約書レビューや契約書作成を行っています。
「この契約書で締結して大丈夫だろうか。」
「活動名を使っているが、この書き方で問題ないだろうか。」
そのようなご不安がありましたら、契約を締結する前にお気軽にご相談ください。
契約書は、トラブルが起きてから見直すものではなく、トラブルを防ぐために作成するものです。



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