紙の契約書へ署名するなら、黒色の消えないボールペンを使うのが最も無難です。
青色でも、通常は問題ありません。一般的な契約書について、署名に使うペンの色を黒色に限定する一般的な法律上のルールはないからです。
ただし、鉛筆や消せるボールペンは、後から書き換えられるため避けてください。
契約書へ署名するときは、高価なペンを使うことよりも、文字が明瞭に残り、簡単に消えたり変色したりしないことが重要です。
契約書のサインは黒色が最も無難
日本の契約実務では、黒色のペンを使うのが一般的です。
黒色には、次のような実務上の利点があります。
- ビジネス文書として違和感がない
- コピーやスキャンをしても読み取りやすい
- 契約の相手に色を選んだ理由を説明する必要がない
- 他の記載や押印と並べても見た目がまとまりやすい
ペンの色について特別な指定がなければ、黒色を選んでおけば問題ありません。
青色のペンでサインしてもよい
青色で署名したからといって、それだけで契約が無効になるわけではありません。
海外との契約や英文契約書では、青色のペンで署名する場面もあります。黒色で印刷された本文と青色の署名を区別しやすいことが、その理由の一つです。
ただし、現在はカラーコピーや高精度のスキャンもあるため、青色だから必ず原本とコピーを見分けられるとは限りません。
日本国内の取引で迷った場合は黒色、相手から青色を指定された場合や、社内ルールがある場合はその指定に従えばよいでしょう。
赤色など、黒・青以外の色は避けた方がよい
赤色や緑色などで署名しても、その色だけを理由として直ちに契約が無効になるわけではありません。
しかし、赤色は訂正や注意書きに使われることがあり、署名としては不自然に見える場合があります。薄い色は、コピーやスキャンで文字が読みにくくなることもあります。
特別な理由がなければ、黒色又は濃い青色を使用するのが安全です。
契約書には、どの種類のペンを使えばよいか
油性ボールペン
契約書への署名には、黒色の油性ボールペンが最も扱いやすいでしょう。
乾きやすく、にじみにくいうえ、文字も長期間残りやすいためです。普段使っている一般的な油性ボールペンで構いません。
高級品である必要はありません。署名の途中でインクがかすれないよう、事前に別の紙で試し書きをしておくと安心です。
ゲルインクボールペン
ゲルインクボールペンでも署名できます。はっきりした線を書きやすく、滑らかに署名できるという利点があります。
ただし、製品や紙の種類によっては、乾くまでに時間がかかったり、こすれたりすることがあります。署名後はすぐに契約書を重ねず、インクが乾いたことを確認してください。
万年筆
万年筆で署名しても問題ありません。
ただし、インクによっては水に弱いものや、長期間のうちに退色しやすいものがあります。また、契約書の紙質によっては、インクがにじんだり裏へ抜けたりすることもあります。
万年筆を使う場合は、耐水性や保存性のあるインクを選び、同じ紙質の紙で試し書きをしておくとよいでしょう。
調印式だから万年筆を使わなければならない、という決まりはありません。
鉛筆や消せるボールペンは避ける
次の筆記具は、契約書への署名には適していません。
- 鉛筆
- シャープペンシル
- 消せるボールペン
- 摩擦や熱で文字が消えるペン
- 時間の経過によって著しく色が薄くなるペン
これらを使った署名が当然に無効になるという意味ではありません。
問題は、署名を後から消したり書き換えたりできることです。契約書の内容をめぐって争いになった場合、署名時の状態を証明しにくくなる可能性があります。
契約書は後日の証拠として保管する書類です。簡単に消せない筆記具を使ってください。
ペンの値段よりも、確実に署名できることが大切
契約書へ署名するために、高価な万年筆やブランド物のボールペンを用意する必要はありません。
重要なのは、次の条件を満たしていることです。
- インクが消えにくい
- 文字が明瞭に読める
- コピーやスキャンでも確認できる
- 署名の途中でインクがかすれない
- 紙ににじんだり裏抜けしたりしない
対面で契約する場合は、相手がすぐに署名できるよう、きちんと書けるペンを用意しておくことが実務上の配慮になります。
企業名の入った無料配布のボールペンでも、正常に書けるものであれば法的な問題はありません。ただし、大切な契約の場では、インク切れや書きにくさがないことを事前に確認しておきましょう。
署名を書き間違えた場合はどうするか
署名を書き間違えた場合、消せるペンで消したり、修正液で覆ったりするのは避けてください。
契約書をまだ締結していないのであれば、新しい契約書を印刷し直して署名するのが最も分かりやすい方法です。
印刷し直せない場合は、当事者間で訂正方法を確認したうえで対応します。自分の判断だけで書き換えると、後から訂正の経緯が分からなくなるおそれがあります。
電子契約ではペンを使わない
電子契約サービスを利用する場合、紙へペンで署名する必要はありません。
電子契約では、電子署名、メールアドレスによる本人確認、認証コード、操作履歴、タイムスタンプなどを利用して、誰が契約手続を行ったのかを記録します。
紙の契約書と電子契約では、本人確認や記録を残す方法が異なります。
なお、契約は原則として当事者の意思が一致することで成立し、特段の定めがある場合を除き、書面の作成や押印が契約成立の必須条件になるわけではありません。ただし、署名や押印のある契約書は、契約の成立や内容を後から証明するための重要な資料になります。内閣府・法務省・経済産業省「押印に関するQ&A」
契約書を初めて作ることになった方へ
契約書を作るときに迷うのは、署名に使うペンだけではありません。
- どのひな形を使えばよいのか
- 契約書へ何を書けばよいのか
- 条・項・号をどのように付けるのか
- 相手から修正案が届いたらどう対応するのか
- 署名や押印を失敗したらどうするのか
- 収入印紙はいくら必要なのか
- 完成した契約書をどのように保管するのか
こうした契約書作成の基本と、作成前から締結後までの手順を一冊にまとめたPDFテキストが、**『すらすら読めて一生使える 契約書のルールとマナー』**です。
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