個人事業主は、ある程度の収入を得られるようになると、法人にした方がメリットがあります。
「法人成り」と読んでます。

一人で仕事をするフリーランスの場合は、法人成りをするときに株式会社より合同会社を選択する方が多いです。
合同会社の設立費用は、株式会社を作るより設立費用が安く、株式会社とほぼ同等の節税効果があるからです。
また、合同会社は給与の設定なども比較的柔軟に変更できます。

個人企業主から合同会社にするメリット

合同会社にするメリットの代表的なものに、以下のようなものがあります。

社会的信用力が上がる

一つ目は、社会的信用について。

コンプライアンスの厳しい会社だと、個人事業主(フリーランス)には仕事を発注してくれません。
私はフリーランスでエンジニアの仕事をうけたとき、
友人の会社を介して複数人で仕事を受けるという形をとっていました。
このやり方は、友人の会社を通さなければ話が進まないため、迷惑をかけることもありました。
やはりBtoBで直接取引できた方が、仕事がしやすいです。

あとは、金融機関からの借り入れをするときも、法人の方が資金調達をしやすいでしょう。
デザイナー・エンジニアで既ににスキルがあれば、融資はいらないかもしれませんが、
カフェなどの仕入れや事務所・店舗の支払家賃が必要な仕事であれば、
「明日まで現金がないから仕入れられない!」「今月の家賃が払えない!」ということになりかねないです。

そういう心配をなくすためにも、
余裕資金として利率の低い融資を受けておいた方が無難です。

同じように士業も法人にして運転資金を用意しておいた方が、事業に集中できそうですね。

また、人を雇うときも個人事業主より法人の方が募集をする側からの印象がよくなります。

責任の範囲が変わる

二つ目は、有限責任について。

合同会社のすべての社員は、株式会社の株主(=出資者)と同様に、会社の債務について有限責任です。
合同会社の買掛金や借入金、税金などは出資金額の範囲までの責任となります。
(個人の資産を担保に融資を受けていれば別です)

個人で事業をするのと比べると、リスクが減るのです。

税金と社会保険

そして、三つ目。これが目的で合同会社にする人が一番多いように思います。
合同会社にした方が、税法上有利な面が多いんです。
さらに、法人にしたら社会保険に加入できます。これもメリットです。

個人と法人では税率が異なる

税金についてもう少し詳しく書きます。

法人と個人事業主では、納める税金の種類が違います。

法人個人事業主
法人税
(最高23.20%)
所得税
(最高45%)
消費税消費税
法人住民税住民税
法人事業税個人事業税

個人事業は累進課税です。
所得税だけみても、稼げば稼ぐほど税率が上がっていきます。
一方、法人税の場合は税率が一定です。

中小法人については、課税対象の所得額800万円を超える部分に、法人税23.30%がかかります。
一方、個人事業主は課税対象の所得額に応じて、最高45%の所得税が発生します。

個人事業主だと、儲かるほど税金が高くなり、不利になります。

売上高や利益の額が大きくなってくると、節税の面では法人化したほうがいいんです。

儲かっていないと、法人住民税と住民税をどちらも支払う必要があるので、法人の方が負担が大きくなります。

そのため、誰にでも法人化をお勧めするわけではありません。

個人と法人では費用の項目が異なる

社長や、従業員がいればその報酬も損金として計上できるのも良い点です。
個人事業主の生活費は、事業で稼いだ金額から支払われますが、
合同会社の給料として支払われたものは、会社の損金に入れられるのです。
これってすごいことですよ。

法人化の目安

法人化にはメリットがあると言っても、
まだ稼いでないときは、個人事業主のほうが節税できます。
一般に収入が1,000万円を超えるか、事業所得が500万円になると、法人の方が有利と言われています。

しかし、1,000万円以上稼いでいても、個人事業主を選択する人もいます。
収入が上がったり下がったりで安定してない人にとっては、必ずしも法人化が正解とは言えません。

ただし、次の場合に該当するのであれば、収入の額によらず、法人化するとメリットがあります。

  • 法人じゃないとできない仕事をしたい
  • 事業を拡張する目標がある
  • 売上が安定するビジネスモデルを持っている
  • 個人事業として安定してやっていけるスキルがある
  • 法人を作る経験をしてみたい

さらに、もう一つの利点として、個人事業から法人にすることによって、事業の継承がしやすくなるということも上げておきます。

合同会社から個人事業主に戻すこともできます。

若く、才能にあふれているのであれば、法人化に挑戦するのも素晴らしいことだと考えます。

その場合も、どんぶり勘定ではいけません。クラウド会計の活用を進めます。
会計ツールはIT導入補助金を活用して購入することもできます。

そもそも、ビジネスは、一回の挑戦ではうまくいきません。
今は、法人設立しても、5年で8割以上が廃業している時代です。

それでも、「会社を作ったことがある」という経験は、将来、人に助言する仕事を選んだ時に
きっと役に立ちます。

最初の合同会社がもしうまくいかず、個人事業主に戻るには、
「合同会社解散及び清算人選任登記申請書」他いくつかの手続きをすれば、戻せます。
「傷が浅いうちに会社をやめることもできる」という選択肢も知っておいて下さい。

融資を検討していない場合は関係のない話ですが、融資を受けているときに撤退するときの知識として、「経営者保証ガイドライン」についてよく理解しておいてください。
ここで詳しくは紹介しませんが、経営者ガイドラインは、会社の清算時に経営者の連帯保証を外すための条件を定めたものです。

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