はじめに 費用だけで利用規約作成サービスを選んで、あとから後悔しないためのコツを教えます
こんにちは。IT企業向けの契約書・利用規約作成サービス「IT契約書作成のミカタ」を運営している、行政書士の坂倫朗です。
この記事では、利用規約作成サービスの専門家が、2022年現在の利用規約作成サービスについて、トレンドを解説し、どのサービスを活用すべきか「選択するポイント」をお伝えします。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。(読み終わるまで5分)
- 利用規約作成サービスの種類
- 値段によるサービスの違い
- 利用規約作成サービスの探し方
- 利用規約作成サービスの活用方法
最近の利用規約作成代行サービスの傾向
これまでは、ネットで利用規約のテンプレートを入手したあと、
利用規約を書き直して整備する方法が多数派でした。
その方法をご紹介しておきます。
やり方としては、「利用規約 ひな形」、「利用規約 テンプレート」と検索します。
すると、たくさんの利用規約のテンプレートがヒットします。
そこからダウンロードしたファイルをもとに作成するのです。
書籍を参考にしてイチから作る方法もありますが、その方法よりは比較的楽に利用規約を作成することがでます。
この従来の方法に加え、現在は法的なウェブサービスが増えつつあります。
次の2つの特徴があります。
・安価な作成サービスの台頭
・AIのサービスによるチェックサービスの台頭
安価な作成サービスの台頭
利用規約を作成するサービスは古くからありますが、安価で、操作的にも使いやすいサービスが出てきたことが最近の傾向です。
KIYACは、その筆頭にあげられます。
KIYACのLiteプランでは、プライバシーポリシー、利用規約、特定商取引法に基づく表記等が作成できます。
Standardプランでは、GDPR(EUが定める個人情報に関する規則)にも対応しています。
作成するときの操作も簡単で、自社サービスに当てはまる内容をチェックボックスでポチポチと選んでいくと、完成した利用規約等をダウンロードできるようになっています。
Liteプランが年間3960円となっていて、非常に手ごろです。
ちなみに無料プランは、プライバシーポリシーを1通のみ作成することができます。
こうしたサービスを使うと、正確な文章の利用規約等を用意できます。
しかも安価に。
驚くべきことです。
AIのサービスによるチェックサービスの台頭
法律のAIサービスも用途を広げてきています。
LawFlowは、契約書や利用規約のリーガルチェックをしてくれるサービスです。
ドキュメントをアップロードすると、レビュー結果が表示されます。
文章中の法的なリスクや、不備のある箇所を指摘してくれます。
過去の文書を雛形として参照したり、書き換える前の文章との比較も簡単です。
このため、利用規約等を作成する場合、非常に効率よく作成をすることができます。
AIサービスを活用するときの注意点をお伝えしておきます。
AIサービスは作成を効率化してくれるものですが、完成した利用規約を出してくれるものではありません。
あくまでも法的なリスクをたくさんのデータを基に評価するものです。
たとえば、サービスの内容について、「これは付け加えた方が運用が楽になるな」ということを提案してくれるものではありません。
より良い利用規約を作成するためには、サービスに関する法的な知識を持っていることが前提となります。
安価な代行サービスも使い方によっては力を発揮する
上記のようなサービスでなく、お安く利用規約作成代行サービスを提供している行政書士・弁護士は以前から存在します。
「上手い・はやい・やすい」路線のものです。
安かろう悪かろうでなく、品質が良いサービスも、もちろんあります。
もし、短期でよい仕事をしてくれる優秀な方を見つけたら、長くお付き合いして離さないことですね。
こういったサービスもデメリットはあります。
納期のものは、作成後の面倒を見てもらえない可能性が高いです。
再度相談するときは、相談料が必要になるかもしれません(それでも安価でしょうけど)
運用・更新を見越した作成を行っていないとリスクを抱える
すべてのサービスを通して考えるべきポイントは、「費用にあっているか」ということです。
事業の立ち上げ時には、安ければ安い方がいいことは、言うまでもありません。
利用規約の生成サービスや、安価な作成代行事務所を使うと、完成度の高い利用規約を手に入れることができるでしょう。
しかし、文章の完成度が高いことは、予防策が万全であることを意味しません。
トラブルに発展しそうないろんなシチュエーションを想定して、事前に「その場合はこうする」といった予防線を張り巡らす必要があります。
通りいっぺんの利用規約は、おそらく、次のようなトラブルを想定していないはずです。
トラブル1:「サービスで委託している運送会社に不備があり、サービス側の責任であるので責任をとってほしい」とお客さんが主張してきた。
トラブル2:サービス内でポイントを配布していたが、退会時に使えなくなることにお客さんから苦情がでた。
利用規約作成を作成することばかり優先して、上記のようなトラブルを考慮しないことは、本末転倒ではないでしょうか。
シチュエーション別 利用規約作成サービスの選び方
「それでは結局どうすればいいの?」と思った方へ、その質問に回答します。
どうすればいいか?は、次のA~Cの状況ごとに分けて考える必要があると考えます。
A:ウェブサービスが無料で提供するものであり、かつ、世間にもよくあるサービスで、比較的リスクが少ない
B:有料のウェブサービスを提供するが、制作側が利用規約の作成経験や法的知識を持っている
C:これまでになかったサービスを提供する
A:ウェブサービスが無料で提供するものであり、かつ、世間にもよくあるサービスで、比較的リスクが少ない
次のサービスを活用した利用規約の作成をお勧めします。
- テンプレートを活用して自作
- KIYAC等の利用規約生成サービスを活用
- 安価な作成代行サービスに依頼する
1,2,3の順に費用がかかると考えてもらっていいでしょう。
費用対効果を考える場合の参考としてください。
B:有料のウェブサービスを提供するが、制作側が利用規約の作成経験や法的知識を持っている
次のサービスを活用して利用規約の作成をすることをお勧めします。
- テンプレートを活用して自作
- KIYAC等の利用規約生成サービスを活用
- 安価な作成代行サービスに依頼する
- AIを活用した文書作成
先ほどと同じですが、知識を持っているのであれば、AIを活用した文書作成もお勧めします。
法的な知識がない状態でAIを使ったサービスを使うのはハードルが高いと言えるでしょう。
知識・経験をもって上記のサービスを活用するとしても、予算が許せば、作成後に、弁護士・行政書士等の専門家にチェックしてもらうことをお勧めします。
実はKIYACやLawFlowも、サービスから生身の弁護士へ相談する流れがしっかりと作ってあります。
サービスを提供する側も、ウェブサービスだけで十分な利用規約が完成できるとは考えていないように思います。
別の角度から言えば、「あらかじめ弁護士に相談できるようになっている」ということも、これらのサービスのメリットと言えるでしょう。
C:これまでになかったサービスを提供する場合の対応
2022年でいうと、DAOやNFTを使ったウェブサービスを作成する場合です。
KIYACやLawFlowのウェブサービス内で提供される内容では限界があるように思います。
十分な利用規約を作成するだけでなく、法的なリスクを下げるシステムづくりや運用方法の助言をもらいつつ開発を行う必要があるので、早い段階から専門家にアドバイスを求める必要があると考えます。
一つ例をあげると、ポイントを活用するウェブサービスには、資金決済法という法律が関わります。
こうした法律面を考えずにシステムを作ってしまうと、リリース間近に利用規約だけでなんとかしようとしても、どうにもならないことがあるのです。
最悪の場合では、リリースを延期することにもなりかねないのです。
Cの場合は、開発段階のなるべく早めに専門家に相談することです。
適正な価格で考える利用規約の専門家やサービスの選び方
法律は法改正を繰り返し、年々複雑に、難解になっています。
高度に専門的なウェブサービスを提供するのではなくても、法律に不安な面があれば、専門家に見てもらってください。
未来のトラブルを回避するコストは、効果が目には見えませんが、それでも専門家に依頼するとそれまで得られなかった知識を得ることができます。
専門家に依頼することは、御自身の経験を増やすための、勉強の機会になります。
注意する点としては、弁護士や行政書士のすべてがウェブサービスについて詳しいわけではありません。人により専門性があるので、どういったことが得意なのかを確認しましょう。
利用規約等の作成や、利用規約等を作成した後のチェックについて、専門家に依頼する場合のポイントは次の通りです。
専門家を選ぶポイント
- そのサービスの仕組み用語を理解しているか?
- 利用規約作成の経験が豊富か?
- 受け答えの感じがよいか?
- 返答が早いか?
- サービスのテスト環境をチェックをしてくれるか?
- サービス運用の業務面までアドバイスしてくれるか?
- サービス運用に関わる法律をレクチャーしてくれるか?
当事務所は利用規約の作成について無料相談を受付中です
当事務所では、IT企業向けの契約書・利用規約作成サービス「IT契約書作成のミカタ」を運営し、利用規約作成の専門家としてアドバイスを行っています。
これまで利用規約作成のみでなく、運用面や法知識についてもアドバイスを行う活動の一環として、「ウェブサービスをトラブルから守る利用規約の運用方法」という書籍や、「プラポリ初級解説: 「これまで法律のことなんか考えずにきた」人のための、プライバシーポリシー入門書」と言う書籍を出版しています。
利用規約の作成だけでなく、作成したもののチェックも受け付けています。
また、ウェブサービス全般の法的なアドバイスを行っています(争いごとは弁護士のご紹介をします)。
ウェブサービスの不安を取り除き、のちの経験を増やすために、当事務所をご活用ください。
初回相談は無料です。