相続登記の申請書 記載例ガイド
遺産分割の場合
架空の事例を使って、相続登記の申請書(遺産分割の場合)の各欄に何を書くのかを解説しています。2026年10月5日以降の申請で加わった「国籍等」の欄にも対応しています。
架空の事例:相続一郎さん(架空)が2026年5月10日に亡くなり、相続人は妻と子2人。遺産分割協議の結果、自宅の土地と建物を長女の相続花子さん(架空)が受け継ぐことになりました。
名前・住所・番号はすべて架空です。実際の申請では、法務局が公開している様式と記載例を使い、ご自身の内容に合わせて書いてください。
○○市○○町一丁目2番3号
相続花子 ㊞4
氏名ふりがな そうぞく はなこ
生年月日 昭和50年1月1日
国籍等 日本5
メールアドレス example@example.com
連絡先の電話番号 00-0000-00006
所 在 ○○市○○町一丁目
地 番 2番3
地 目 宅地
地 積 120・00平方メートル
家屋番号 2番3
種 類 居宅
構 造 木造スレートぶき2階建
床面積 1階 60・00平方メートル 2階 50・00平方メートル
各欄の書き方
- 1
登記の目的
相続で名義を移す登記なので、「所有権移転」と書きます。
- 2
原因
亡くなった方の死亡日(戸籍に書かれた日)と「相続」を書きます。遺産分割協議をした日でも、亡くなったことを知った日でもありません。
※「知った日」は、相続登記の申請期限(相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内)の数え始めに関係する日で、この欄には書きません。
- 3
被相続人
亡くなった方の氏名を、括弧書きで書きます。
- 4
相続人の住所・氏名(不動産を受け継ぐ人だけ)
ここに書くのは、相続人全員ではありません。遺産分割協議でこの不動産を受け継ぐことになった人だけを書きます。この例では、相続人は妻・長男・長女の3人ですが、受け継ぐのは長女の花子さんなので、花子さんだけを書きます(法務局の記載例も、妻と子2人のうち不動産を受け継ぐ子1人だけを書いています)。妻と長男の署名と実印は、添付する遺産分割協議書のほうに入ります。
2人以上で受け継ぐ(共有にする)場合は、受け継ぐ人全員の住所・氏名を書き、それぞれの氏名の前に「持分2分の1」のように持分を書きます。そのうち実際に申請する人には「(申請人)」と書いて押印します。申請人にならなかった人には、登記識別情報が通知されません。
住所と氏名は、住民票の写しに書かれているとおりに正確に書き、押印します(認印でよいとされています)。住所は、住民票のとおり、省略のない形で書きます。
住民票に「○○市△△町八丁目33番8-404号」とある場合
○ ○○市△△町八丁目33番8-404号(住民票と同じ)
× ○○市△△町8-33-8-404(住民票と表記が違う)「番地」か「番」か、漢数字か算用数字かなど、住所の書き方は市区町村によって違います。お手元の住民票と一字一句同じにしてください。
住民票コードを書くと、住民票の写しの添付を省略できます。 - 5
氏名ふりがな・生年月日・国籍等・メールアドレス
④に書いた人(不動産を受け継ぐ人)について書きます。メールアドレスは、ご本人だけが使っているものを書きます。
国籍等2026年10月5日以降:2026年10月5日以降の申請では、登記名義人となる方の国籍等を書くことになりました。記載例では、日本国籍の方は「日本」と書いています。
- 6
連絡先の電話番号
申請書に直すところがあったときに、法務局から連絡を受けられる番号です。平日の日中につながる番号を書きます(携帯電話でも構いません)。
- 7
添付情報
この行は、法務局の記載例(遺産分割)のとおり、「登記原因証明情報 住所証明情報 国籍を証する情報」と書きます。どれも書類そのものの名前ではなく、添付する書類の種類の名前です。記載例でも、「戸籍謄本」「住民票」のような書類の名前ではなく、この3つの言葉が書かれています。
実際に申請書と一緒に出す書類は、次のとおりです。
※ここで挙げるのは遺産分割の場合の書類です。遺言書がある場合や、遺産分割協議をしない場合は、出す書類が変わります(様式選択チャートで、どの場合に当たるかを確認できます)。
登記原因証明情報として出すもの
(1) 遺産分割協議書:相続人全員が署名し、実印を押したもの
(2) 相続人全員の印鑑証明書:協議書に押した実印のもの(作成後3か月以内のものでなくてもよいとされています)
(3) 戸籍:次の(A)か(B)のどちらか
(A) 次の戸籍の証明書
・亡くなった方の、出生から死亡までのつながりが分かるもの:戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、除籍謄本(除籍全部事項証明書)、コンピュータ化される前の古い戸籍(改製原戸籍)など。結婚などで戸籍が変わっていると、何通にもなります。
・相続人全員のもの:戸籍謄本または戸籍抄本(戸籍全部事項証明書・個人事項証明書)。亡くなった日より後に発行されたものが必要です。
亡くなった方の戸籍と重なるもの(同じ戸籍に相続人が載っている場合など)は、重ねて出す必要はありません。
(B) 法定相続情報一覧図の写し:一覧図を戸籍と一緒に法務局へ出し、法務局から交付を受けた「写し」です。手元で作った図をそのまま出すのではありません。一覧図の作成と法務局への申出は、相続人のほか、行政書士などに頼むこともできます(法定相続情報証明制度)。写しを出す代わりに、写しに書かれた法定相続情報番号を申請書に書く方法もあります。
(4) 登記簿の名義人と、亡くなった方が同じ人だと示す書類:次のどちらかに当てはまるときに必要です。
・登記簿に載っている住所・氏名が、亡くなったときの住所・氏名と違う(引っ越した、氏名が変わったなど)
・登記簿に載っている住所が、亡くなった方の本籍と違う
→ 本籍が載った住民票の除票、または戸籍の附票の写しなど住所証明情報:受け継ぐ人の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)。欄4で住民票コードを書いた場合や、提出する法定相続情報一覧図の写しに受け継ぐ人の現在の住所が書かれている場合は、住民票の写しを出さなくてよいとされています。
国籍を証する情報:日本国籍の方は、登記原因証明情報として出す相続人の戸籍で足りるとされ、別の書類を重ねて出す必要はありません。それでも、この行には「国籍を証する情報」と書きます。戸籍の代わりに法定相続情報一覧図を使う場合の扱いは、法務局の記載例に書かれていないため、登記手続案内でご確認ください。次の場合は、この行の書き方が変わることがあります。法務局の記載例の注意書きか、登記手続案内でご確認ください。
・法定相続情報一覧図の写しの代わりに、法定相続情報番号を申請書に書く場合
・ご家族などに申請を頼む場合(委任状が必要になります) - 8
登記識別情報の通知
登記識別情報の通知を希望しない場合にだけ、□にチェックを入れます。
- 9
申請日と法務局
申請する日と、不動産がある場所を管轄する法務局(支局・出張所)の名前を書きます。
申請先は、お住まいの近くの法務局ではなく、不動産がある場所で決まります。近くの法務局でも、その不動産を管轄していなければ申請できません。不動産の所在地から、法務局の「管轄のご案内」で調べてください(各法務局のページに「不動産登記の管轄区域」が載っています)。
- 10
課税価格
不動産の評価額の合計から、1,000円未満を切り捨てた額です。登録免許税の計算ツールで目安を計算できます。登録免許税が免除される場合は、課税価格の記載は不要です。
- 11
登録免許税
課税価格 × 0.4%(100円未満切り捨て)です。この例では、1,500万円 × 0.4% = 60,000円です。免税措置を受ける場合は、税額の代わりに免税の根拠となる法令の条項を書きます。
納め方は、次のどちらか一つです。
・原則:金融機関や税務署などで登録免許税を納め、領収証書を受け取ります。法務局の窓口で現金を払うわけではないので、郵送で申請する場合もこの方法で納められます。納付の細かい手順は、申請先の法務局にご確認ください。
・登録免許税が3万円以下の場合など:登録免許税と同じ額の収入印紙で納めることもできます。どちらの場合も、領収証書または収入印紙は申請書に直接貼らず、別の白紙(台紙)に貼ります。この台紙を申請書の次に重ねてとじます。とじ方と契印は、下の「申請書の仕上げ方」をご覧ください。
- 12
不動産の表示
登記事項証明書のとおり正確に書きます。不動産番号を書けば、所在・地番などの記載を省略できます。
申請書の仕上げ方(用紙・とじ方・契印)
- A
用紙と筆記具
A4の用紙(縦置き・横書き、上質紙など丈夫な紙)を使い、片面だけに印刷・記入します。手書きの場合は、黒のインクやボールペンではっきり書きます。消せるボールペンや鉛筆は使えません。パソコンで作ることもできます。
- B
ホチキスでとじる
登記申請書(全ページ)の後ろに台紙(領収証書または収入印紙を貼ったもの。欄11参照)を重ね、まとめて左側の余白の2か所をホチキスでとめます。添付書類(戸籍・協議書など)は、その後ろにクリップでとめるなどして、全体を左とじにして出します。免税で登録免許税がかからない場合は、台紙は要りません。
出すときは、(1)の後ろに(2)を重ねます(イメージ)。 - C
契印(けいいん)を押す
契印とは、とじた用紙と用紙のつなぎ目にまたがって押す印のことです。次の2つの場所に押します。
・申請書が2枚以上になるとき:ホチキスでとめた各用紙のつなぎ目
・申請書と、台紙(領収証書または収入印紙を貼ったもの)とのつなぎ目ホチキスでとめた用紙を開き、つなぎ目にまたがるように押します(イメージ)。 押すのは申請人です(申請人が2人以上いる場合は、そのうちの1人で構いません)。収入印紙そのものには、印を押しません。
出典:法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」令和6年9月版。2026年10月5日以降の申請用の記載例でも、つづり目への契印と収入印紙に押印しない点は同じ内容です。
このガイドは、法務局が公開している記載例と解説をもとに、架空の事例で一般的な書き方をまとめたものです。ご自身のケースでどう書くかは、法務局の登記手続案内(完全予約制・1回20分以内)でご確認ください。
当事務所は、登記申請書の作成・登記に関するご相談は行っていません(司法書士の業務のため)。
出典(2026年11月1日確認):
法務局「不動産登記の申請書様式について」所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)記載例/(相続・法定相続)記載例(いずれも令和8年10月5日以降の申請用)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」令和6年9月版 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001388912.pdf
法務局「登録免許税の計算」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001467400.pdf
法務局「登記手続案内」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page_000001_00050.html